ヘッジファンド証券コラム

ヘッジファンドと投資信託の違い

掲載日:2014-10-22

ヘッジファンドと投資信託は、どちらもプロにお金を預けて運用を委託する資産運用方法です。ただし、両者は、運用成果の目標設定や運用方法に大きな違いがあります。

株式投資信託の運用は「相対収益」

ここでは、一般投資家に身近な、公募の国内株式投資信託について説明します。
国内株式投資信託の運用方針は多くの場合、「組入を高位に保つ」としており、相場に合わせて投資比率を変えることはせず、常にファンドの資産いっぱいに株式などを保有(フルインベスト)します。その運用の成果目標としては、「ベンチマークを上回ること」が掲げられます。

ベンチマークとは、ファンドごとに設定される競争相手で、ファンドの投資対象に合った指標(株価指数や債券指数など)が選ばれます。株価指数が上ればそれを超える値上がりを目指し、株価指数の下落局面では指数の値下がり率よりも値下がりを小さくすることを目指します。

フルインベストでは、株価指数が下がる時にファンドの基準価額を上げることは困難であり、大抵のファンドは株価指数とともに値下がりします。ただ、相場環境を分析して、保有銘柄をなるべく値下がりしにくいものにシフトするなど、運用方針の範囲内で、値下がりを抑えることに最善の努力を尽くします。このように、ベンチマークに対しての運用成果を相対収益(相対リターン)といいます。

これに対しては、「市場が値下がりするなら、株式を売却すれば……」という意見が聞かれます。しかし、仮に、暴落を予想して株式をすべて売却したのに、実際には暴落が起きずにむしろ上昇相場を迎えてしまったら、そのファンドだけが値上がりせずに取り残されることになります。これを機関投資家などのプロは「持たざるリスク」と呼び、そのリスクを取らないのが国内投資信託の考え方であると理解してください。

ヘッジファンドの運用は「絶対収益」

一方、ヘッジファンドの多くは、市場全体(株価指数)が上がっても下がっても、プラスの収益を目指します。これを絶対収益(絶対リターン)追求型の運用といいます。よく絶対に(必ず)収益を上げるという保証的な意味と誤解されますが、比較対象がない状態(絶対)での収益獲得を目指すという意味です。

運用内容などに規制の厳しい公募の国内投資信託と違い、運用の自由度が高いのがヘッジファンドです。そこで、先物取引などを利用した効率の良い運用や、高度で複雑な金融工学を駆使した運用で、リスク管理をしながら、より積極的な姿勢で収益を狙うことができます。また、国内投資信託と異なる点として、成功報酬制が挙げられます。成功報酬とは、「値上がり分の20%」などと運用成果に対して一定の率を掛けたものをファンドマネージャーが受取る報酬システムです。
この制度は、ファンドの値上がりとマネージャーの収入を連動させることから、収益獲得へのモチベーションを高める効果が高いといわれています。こういった仕組みから、ヘッジファンドは国内投資信託に比べて、プロが収益獲得に集中して、有する運用技術のすべてを尽くせる環境が整っていると考えられます。

ヘッジファンドと投資信託の扱い方の違い

相対収益を追求する投資信託では、相場全体の大きな流れを投資家側が判断する必要があります。例えば、日本株に投資するファンドを保有していて、相場が過熱感を帯びてそろそろ値下がりする可能性が高まったと考えるなら、投資家自身がそのファンドを売却しなければ、相場全体の下落の影響を少なからず受けることになります。

それに対して、絶対収益を追求するタイプのヘッジファンドは、ファンドマネージャーの判断で株式の保有比率を下げたり、先物などで値下がりを回避(ヘッジ)したり、もともと市場の値下がりに影響を受けないポートフォリオを組んである場合もあり、下落相場の影響を避ける方法を有しています。したがって、投資家の方で、相場の先行きを判断する必要はありません。

投資信託は小口資金でも買うことができ、投資先と投資家をつなぐ便利なツールではありますが、その投資対象資産の保有比率(ポジション)管理は投資家の役割です。一方、ヘッジファンドはポジション管理も含めて中長期のスタンスで運用を任せておける金融商品ということになります。

ヘッジファンド 一般的な株式投資信託
対象投資家 富裕層、年金基金、機関投資家
(プロの法人投資家)
一般投資家
投資金額 一般に数千万円単位 通常、1万円程度から
投資対象 伝統的資産に加えて、金融先物、商品先物など 株式など伝統的資産
投資姿勢 リスクを取って積極的に収益を狙うものから、
ヘッジしながら安定収益を狙うものまで様々
ボトムアップ分析による個別株選別と
分散投資でフルインベスト
収益目標 絶対収益(絶対リターン) ベンチマークを上回る収益を目指す(相対リターン)
レバレッジ 最大で10倍程度 基本的になし
投資戦略 ロング&ショート、マーケット・ニュートラル、イベント・ドリブン、グローバル・マクロ、マネージド・フューチャーズ など アクティブ運用(基本的に、フルインベストメント)、インデックス運用(株価指数連動)




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